元日本マイクロソフトの社長である成毛眞さんの書籍。高い確率で将来に起こるであろう出来事が分かりやすく書かれている。
未来に触れたい時の導入にはもってこいの本になっている。
日本にとっては暗い話題が多い本になっているが、現実を知ったうえで本日から対策を取っていきたいと思う。
内容盛りだくさんで少し多くなりましたが、要点のみ抜粋したので見ていきましょう。
出版社名: 日経BP
著者名:成毛 眞
発行年月日:2021年1月8日
ページ数:238ページ
評価:
ちょい得情報
この記事は以下のような方におすすめ!
- 2040年の未来に必要なテクノロジーを知りたい
- 未来の経済は明るいのか知りたい。不幸に引き込む3要素とは、年金、税金、医療費
- 衣・食・住を考えながら、未来を予測する力をつけたい
- 天災は必ず起こる。日本で住んでても良いの?
目次
2040年の未来予測
近年の生活を変えたのはスマートフォンの普及によるところが大きい。
そんなスマホは13年前に発売された。逆に言うと13年前はスマホの無い景色が日常だった。
新しい技術が出た時、世の大多数は否定的である。
これまでの10年より、これからの10年の方が世界は大きく、早く変わる。
20年後には今想像もできないような事がおきるであろう。
日本には苦難が続くが、テクノロジーの進化にて未来が少しでも明るくなるように。
1:未来を明るくするのはテクノロジーの進歩のみ
100年前は、アインシュタインが40日かけてフランスから日本に来て、講義をした。
今では飛行機で12時間もあれば移動できるし、一人一台保有してい携帯電話でリアルタイムにテレビ電話もできる。
ここ100年でテクノロジーは驚くほどに進化した。
新しいテクノロジーが登場したとき、人間はその普及に反対する
カメラが登場した時は、写ると魂をとられる と言われていた。
携帯電話の登場も無線機のようだと言われ、「iモード」は電話に不要な機能と言われ、iPhoneは「おもちゃ」と揶揄された。
新しい技術に対して人間は懐疑的になる。だからこそいち早くその可能性に思いを巡らせられる人にはチャンスがある。
新しい技術は、すでにある技術の改良や組み合わせで登場することがほとんどだ。現代を見渡せ未来は見える。
また技術の進歩は加速度的に早くなっている。
空飛ぶクルマも2040年には可能になる
多くの情報を高速で伝えることで可能になる技術は通信が土台になる。
通信は10年ごとに次の世代にすすむ。
2010年:4G、2020年5G、2030年:6G
6Gの低遅延により、すべてのモノがインターネットに常時接続される時代になる
公共のバスや電車などは、ネットワークに接続された自動運転となり、輸送や物流なども効率的になる
上空はドローンが行きかい、どこにでも欲しいものを配達してくれる
RFID(Radio Frequency IDentifier)にて、電波でチップを瞬時に自動認識する技術がでてくる。今はコストの問題で普及していないが時間の問題。
家中の家電は勿論、使うモノ、触れるモノがすべてインターネットに接続されるだろう。
住人の行動をAIが学習するようなAIマンションが出来上がるだろう
2000年の時点で2010年代のiPhoneの爆発的ヒットを予言できなかったのだから20年後は予測しにくい。
自動運転の肝となりそうなのはLiDAR(ライダー)(Light Detection and Ranging)がレーザーの反射で距離を測定する技術。小さな物体も検知可能。
空飛ぶ車は自動運転の延長にある。日本での少子高齢化という課題には、「空飛ぶクルマ」による医療サービスなどが必要になるだろう。
中国と監視カメラと個人データ
コンビニやスーパーは無人店舗になる。2040年は有人店舗の形態も大きく変わる。
アリババとテンセントは膨大な取引履歴を活用して、個人の信用レベルをスコアリングするサービスを提供
このようなIT企業のサービスが行政と結びついている。20以上の地方西部で、個人の評価システムが始まっている。
その結果中国の公共意識は、日本、アメリカより高くなることが予想される。
日本の過疎化を救うのは5Gでの診療
地方の過疎化よりオンライン診療を後押しするのは間違いない
家の中の全ての物がネットワークに繋がれば、健康状態や健康維持を24時間監視することになる。医者がそのデータを活用してオンライン診療が実現する。
医療技術はAIのおかげで格段に進歩する。収集したデータに基づいてAIが素早くかつ見逃しなく診断する。
AIの診断で誤診が起きた時の責任の所在など法整備も必要になる
薬もAIで効率よく処方できる
ゲノム編集技術で難病の治療に光が見える
遺伝子を自在に切り貼りする「ゲノム編集技術」が医療を引っ張っていく
2012年より、改変したい遺伝子情報の場所を特定し、削除したり置き換えたりできるようになった。
2020年代にはがん治療が大きく変わることは間違いない。
再生医療がパーキンソン病やアルツハイマー病を治すかも
再生医療により、一つの細胞から別の臓器を作ることができるようになった
脊髄損傷で手足が麻痺したサルの細胞を移植し、一定の成果がでている
パーキンソン病やアルツハイマー病の神経細胞を脳から取り出すことは難しかったが、iPS細胞があれば別の細胞から作ることができる。作れたら健康な細胞と比較することで治療法が分かってくる
風力発電に向かない日本の地形
原発後のエネルギーのカギは「電池」。現状では電気を安価に大量にためることはできていない。
電気自動車などを蓄電池としてインフラに活用する「V2G(ビークル・トゥ・グリッド)」が大化けする可能性がある
全個体電池は日本企業の競争力が高い分野。特許出願の54%と圧倒的なシェアがある。
海上は陸より風が強い、大規模な施設を建てられる、騒音問題も起きない、大型化しやすいということで、洋上風量発電が「切り札」になる
ただし、日本では遠浅の海が少ない、台風が多い、運転音が漁獲へ影響する。など活用が進まない
そこで注目しているのが核融合のエネルギー。燃料は枯渇しない、温暖化の原因とならない、原発のように高レベル放射性廃棄物も発生しない
2:貴方の不幸に直結する未来の経済(年金、税金、医療費)
2040年の日本は老人ばかりの国になるしますます貧しくなる。
「ますます」と書いたのは2020年の今、日本は既に貧しい。外人が日本に訪れて爆買いするのは、日本が「安い国」になっているから。
日本は10年前から物価がほとんど上がっていない。
日本の財政を家計に例えると、毎年、収入より支出が多い状態。借金もぶっちぎりで1位
国の財源は、私たちの社会保険料からまかなうしかない
社会保障費は2040年には2019年の2倍に跳ね上がると予想されている。
65歳以上を支える現役世代は1950年には12.1人だったが、2040年には1.5人になる
10年前に比べて社会保険料の負担率は、ひとりあたり26%増えているが、賃金は3%しか伸びていない
すべての問題は、高齢者が増えること
日本の課題は「労働力不足」になる。生産年齢人口は1995年がピークで減少に転じた。総人口のピークは2008年。
理由は高齢者が増え続けたから。1950年生まれの男性は35%、女性の60%は90歳まで生きる
1990年生まれのでは、65歳まで生きた女性の2割は100歳まで生きる。
また、現在65歳以上の7人のひとりは認知症と言われている。2035年は4人に一人が認知症になる。
70歳まで働くなら、今と同じ額の年金はもらえる
老人ホームは高い。特別養護老人ホームであっても、経済的余裕がなければ入れない。
将来の医療費を減らすのはテクノロジー、医療はAIや遺伝子治療の導入で大きく変わる。介護もロボットの導入でコストが下がる。
日本では5年に1度、年金制度の検証をしている。
30歳の人は68歳4か月、40歳の人は67歳2か月まで働いて、保険料を納めて、年金開始年齢を遅らせれば、今の65歳で年金受給が始まる高齢者と同水準がもらえる
そもそも国が70歳近くまで働くことを前提にしている
年金は自動的にもらえるお金ではなくて、長生きした時に困らないための保険料だと考えよう
日本のGDPはお先まっくらなのか
人口が増えない国はお先が真っ暗だ。日本の人口は2008年がピークにもう増えない。
日本経済の将来については国内外多くの予測がでているが、悲観的な見通しも少なくない。
ただ、この前提には大きな欠点がある。日本の技術の進展が一切考慮されていないことだ。
地方銀行はすでに存在が危ぶまれている
教育分野は2040年は厳しい
退職金はそもそも払わなくても違法ではない。退職金は、給料が安い代わりに退職時に多く支払うことから生まれた
民間の保険には入らない方が良い。また、預貯金は意味がない。
これからの時代はテクノロジーよりも政治が株価を決める
米中貿易戦争など、株価が政治で決まることが増えてくる
一企業のテクノロジーなどの可能性で株価を占うのはあまりにリスクが高い。
政治の前には、1個人の力など無力に等しい。
資産形成したい多くの人には、「株式のインデックスファンド」の一択だ。
3:衣・食・住を考えながら、未来を予測する力をつける
自然災害のリスクや温暖化などこれから深刻になる
日本の地価は50年後には下落している可能性は高いが、2030年だけでみると上がっているかもしれない
日本で買い物をすると安い。コロナ禍がもたらした金余りが、日本の安い不動産に向かうことは考えられる
遺伝子編集した魚を食べないともうもたない
途上国が経済成長をすると、肉をたべるようになる。供給が追い付かないという問題が起きる。
代替肉の世界市場は、2018年で46.3億ドル。2023年には64.3億ドルに達する。
動物の筋肉の幹細胞を取り出し増殖させる培養肉も有効になるだろう。
魚も同様に、ゲノム編集による遺伝子組み換えを行い、肉の量を多くした真鯛や、短期間で肉厚に成長するトラフグなどを食べるだろう
人口肉だけではなく、昆虫食もこれから普及するだろう
マンションの価値は下がる
景気が良かった時に大量に建てられた住宅は売りたくても売れない。日本全体で空き家の急増が懸念されている。
マンションの資産価値を上げるには、大規模な修繕工事が欠かせない。
2018年時点で、全国のマンションの75%で修繕積立金が国の目安とする水準を下回っている。
自分の家が欲しいと考えるサラリーマンは居なくなってくる。家の価値は更に下がる。
定額制で日本各地の家に住み放題のサービスがいくつか生まれている。
日本では学歴の意味がなくなる
オンライン教育はあたりまえになる
アメリカの大学は富裕層以外は行けなくなっている
日本の大学進学率は平均以下。
日本では学歴の意味がなくなるだろう。理由は就職に学歴が関係なくなるから。
大学が生き残るためには専門性を磨くしかないだろう
貧しくなる日本にシェアリングは不可欠
シェアリングは巨大産業になる
経済的に豊かになれば、人はシェアリングから距離を取るかもしれない。しかし、日本は経済大国から2番手のグループに落ちることが既定路線。
貧しくなる日本にシェアリングは不可欠
2040年はアフリカが「世界の工場」になっている。アフリカの「ストーリー」がファッションの目玉になる
4:天災は必ず起こる
このまま温暖化が進むと、飢餓に満ちた世界が必ずくる
温暖化により台風が大型化し、豪雨が増加する。自分のいる場所がどんな水域か知っておくべき
日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに減少しているのに、危険な場所に住む人が増え続けている
自治体のハザードマップは必ず見るように
南海トラフ地震の際は、日本中で地震が連動して起こる可能性が高い
M9級の南海トラフ地震は30年以内に70~80%の確率で発生する
M7級の首都直下型地震は30年以内に70%の確率で発生する
日本には富士山噴火のリスクもある。日本中の機能がストップする
温暖化によって戦争が起こる
これまでの戦争の理由は、資源と富の収奪である。20世紀の戦争は石油をめぐって戦われた
温暖化により異常気象が続くと、食料の奪い合いが危惧される
「水」が最も希少な資源になる
食料不足もそうだが、その前に深刻な水不足が起きるだろう。水は石油よりも貴重になる。
すでにアフリカでは、気候変動による水不足に2億5000万人が直面している。
2050年は、アジアでも水不足が起こる。10億人が水不足に陥り、世界中の都市部で利用できる水が今の3分の2まで落ちこむ
21世紀は水をめぐる戦争が多発するはずだ。深刻な水不足に陥る地域は、パキスタンやインド、中国だ。いずれも核保有国である
まとめ
近年のテクノロジーの紹介から、不安たっぷりな日本の経済状況について触れられた
また、衣・食・住の面からも懸念事項はあるし、日本国は温暖化、地震、火山噴火、水不足による戦争と、大変暗い未来予測のさなかにいる。
日本はこれからどのように対応していけばよいのか。それを解決するのがテクノロジーである。
成毛さんも、具体的な根拠は示せないが、ある程度楽観的に考えていると記載している。
最後に1つアドバイスしてくれているのは、「国を忘れること」である。
国を忘れて、これからの時代をどうやって生き残るのかをまず考えるべき。どうすれば幸せな人生を送れるかに全エネルギーを注ぐべきとだと言われている。
生き残るためには、環境に適応しなければならない。生き残るのは優秀な人ではなく、環境に適応した人であることは歴史が証明している。
本書には、このブログでは伝えきれない内容が多数詰まっています。
もっと深く知りたい方は、
2030年の未来が知りたい人は下記書籍もお勧め。 出版社名:ニューズピックス 著者名:ピーター ディアマンディス(著)/スティーブン コトラー(著) 発行年月日:2020/12/22 ページ数:445ページ 評価: 2020年から2030年までの10 ... 続きを見る
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