もう怖くない! 筋肉のつり こむらがえり――痛みの原因と対処法を徹底解説
出版社名:唯学書房
著者名:出沢 明
発行年月日:2015年12月25日
ページ数:154ページ
評価:
先日、スパルタンレースに出場したところ、こむらがえりになった。
急遽この本を手に取って読んでみた。
この本は、テレビでもおなじみ「神の手」の出沢ドクターが
突然襲ってくる筋肉のつりやこむらがえりを予防・解消!
筋肉がつる原因はさまざまで、「この薬を飲めば治る」といった単純なものではありません。
この本を読むことで、そのメカニズムを知り、自分にあった対処法を見つけてる事ができます。
ちょい得情報
この記事は以下のように、筋肉がよく「つる」方におすすめ!
- よく「つる」が、メカニズムは知らない
- 「つらない」ために食事で気を付けることが解らない
- 「つらない」ためには結局何食べればよいの?
目次
もう怖くない! 筋肉のつり こむらがえり――痛みの原因と対処法を徹底解説
原本では
第1章で「つる」のメカニズムを説明
第2章で、こむらがえりにかかわる病気の説明
第3作用ではその対処法について、
・食事療法
・セルフケア
・薬物療法
の観点から説明されている。
本記事では、思い切ってぎゅぎゅっと短くし、「つる」のメカニズムと、食事療法に集中して解説していきたい。
1:「つる」のメカニズムとは
「つる」とは、どんな状態のこと?
「つる」とは、筋肉が痙攣(けいれん)を起こして収縮し、ロックされた状態の事です。
筋肉が急に収縮し、そのまま硬直。自分の意志では痛くて動かせなくなってしまう状態を「つる」と言います。
医学用語では、「有痛性筋痙攣(ゆうつうせいきんけいれん)」「筋クランプ」と呼ばれます。
「つる」と「こむらがえり」は同じ?
「つる」のなかに「こむらがえり」があります。
昔はふくらはぎを「こむら(腓)」と呼んだことから、ふくらはぎがつった状態を「こむらがえり」と言います。
筋肉に痙攣が起きてしまうのはなぜ?
筋肉には、強い負担がかかったときの損傷をふせぐため、極度な伸張・収縮にブレーキをかけるメカニズムがあります。
筋紡錘(きんぽうすい)は伸びすぎを、腱紡錘(けんぽうすい)は縮みすぎのブレーキをかけます。
身近なところでいうと、かっけの検査で膝を叩くと足が反射で伸びる現象。これは筋紡錘が脊髄に「縮め」の命令を出しています。
人間の足は、ふくらはぎの筋肉が緊張して縮むとアキレス腱が伸びる構造になっています。
筋肉が過度に縮むとアキレス腱にある腱紡錘が、腱の伸びすぎを防ぐために、筋肉に「それ以上縮むな!」と指令を出します。
このとき、何かのきっかけで腱紡錘が動かず、縮んだ筋肉が異常に収縮を続けてしまうと、こむらがえりが起きてしまいます。
筋肉の収縮をコントロールする腱紡錘の動きが悪くなる原因は?
メカニズムは判明していません。
ただ、有力視されているのは「電解質異常」。
主な電解質として、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウムなどのミネラルがあげられます。
特に重要なのが、マグネシウム。
マグネシウムは、カルシウムやカリウムの働きを調整する重要な役割があります。しかし、現代人は不足しがちです。
こむらがえりの多くはマグネシウム不足が原因で発生します。
加齢や疲労、栄養不足、脱水、冷えなどで、ミネラルのバランスが崩れると、神経の伝達に支障が生じ、筋肉の収縮をコントロールできずに痙攣を起こすと推測されています。
スポーツ中に、よく足がつるのはなぜ?
①発汗によるミネラルの排出
②筋肉使用時のカルシウム大量消費により、筋肉疲労が起こる。
結果、筋紡錘と腱紡錘の働きが悪くなり、、「こむらがえり」が起きやすくなります。
2:食事療法
ミネラルバランスの取れた食事が大切。
重要ミネラルは、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム。
特に大切なのはマグネシウムです。
マグネシウムは、細胞の活動に必要なカルシウムやカリウムの吸収をサポートし、カルシウム濃度を調整する働きをもっています。
マグネシウムが不足すると、「つり」が起きやすくなります。
マグネシウムとカルシウムは、1:2~1:3の割合で、バランスよくとる事が大切です。
カルシウムは不足すると骨から自動的に補充されますが、カルシウムが過剰になるとマグネシウムの吸収が阻害され、さまざまな不調を起こします。
マグネシウムは意識的に摂取する必要があります。
1日に必要なマグネシウムとカルシウムの量は下記参照。
マグネシウムの食事摂取基準(mg/日)
年齢 | 男性推奨量 | 女性推奨量 |
10~11歳 | 708 | 732 |
12~14歳 | 991 | 812 |
15~17歳 | 804 | 673 |
18~29歳 | 789 | 661 |
30~49歳 | 738 | 660 |
50~64歳 | 737 | 667 |
65~74歳 | 769 | 652 |
70歳以上 | 720 | 620 |
出所:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
カルシウムの食事摂取基準(mg/日)
年齢 | 男性推奨量 | 女性推奨量 |
10~11歳 | 210 | 220 |
12~14歳 | 290 | 290 |
15~17歳 | 360 | 310 |
18~29歳 | 340 | 270 |
30~49歳 | 370 | 290 |
50~64歳 | 370 | 290 |
65~74歳 | 350 | 280 |
70歳以上 | 320 | 260 |
出所:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3:それでは具体的に何を食べればよいのか
マグネシウムが多く含まれる食品
- アーモンド 10粒10gで27mg
- するめ 1枚80gで136mg
- 素干しわかめ 100gで110mg
- 落花生 15粒10gで20mg
- いわしの丸干し 4尾100gで100mg
- 乾燥ひじき 大さじ1杯5gで31mg
- 納豆 1パック50gで50mg
- 牡蠣 2個40gで30mg
- 玄米 1膳150gで74mg
- ほうれん草 1/4把50gで35mg
わかめを食べる。
わかめには豊富にマグネシウムが含まれている。
わかめに、しらすや煮干し、干しエビ、ゴマなどを加え、レモン汁を絞ってたべるサラダはお勧め。
カルシウムが多く含まれる食品
- 木綿豆腐 1/2丁150gで180mg
- 煮干し 6~7尾100gで220mg
- プロセスチーズ 2切れ30gで190mg
- 小松菜 おひたし1人分50gで75mg
- 牛乳 コップ1杯200mlで230mg
牛乳を飲む
妊娠中や更年期以降の女性はカルシウム不足により、こむら返りが起きやすくなります。
カリウムが多く含まれる食品
- りんご 1個240gで264mg
- 素干しわかめ 5gで260mg
- キウイフルーツ 1個90gで261mg
- 納豆 1パック50gで330mg
- バナナ 1本90gで324mg
- じゃがいも 1個120gで492mg
おやつにバナナ
カリウム不足もこむらがえりの原因になります。
まとめ
本書では強調されていなかったが、納豆とわかめはマグネシウムもカリウムも豊富に含まれている。
日本では簡単に手に入るので積極的に食べていくのが良いだろう。
あとは、アーモンドによるマグネシウム摂取、牛乳によるカルシウム摂取も習慣化していきたい。